全英オープンを今年もTV観戦しました。期待の松山英樹や石川遼ら日本人選手も果敢に挑みましたが、あのタフなリンクスに返り討ちにあってしまいました。
毎年、全英オープンが行われるリンクスは、アメリカや日本のゴルフ場のように人工的に整備されたゴルフ場とは違い、潅木、草むら、クリーク、穴地といった自然の地形を100%生かしたネイチャーコースです。これに加えて強い風や雨などの自然現象を含めて戦わなければならない。庭園化された日本のゴルフ場で育ち、主戦場として戦う日本人プロが1週間前にリンクスにきて数回の練習ラウンドで勝てるほど甘くはない。
ゴルフ作家・鈴木康之氏はリンクスのことをこう書いてます。
「英国ではリンクスコースのことをネイチャー・コースといい、人工的なコースとは同一視しない。ここにみだりに人工的な手を加えることは神物冒涜だといまだに言われている。ネイチャー・コースの地上にある隆起、穴地、クリーク、潅木などのすべて、風、雨など空中に起こるすべてはゲームに欠かせないハザードであり、愉快の要素として楽しむ。自然のアンジュレーションを生命とする球技はゴルフしかないのではないだろうか。
リンクスから世界にゴルフが広がった過程で、コースは庭園化した。ネイチャー・コースがあまりにも困難なために、易きに走った。それでもなおゴルフ・プレーはままならない。ゴルファーたちはプレーの仕方すらも易きに走りたがってきた。今日私たちいるのはそうした過程の先にある世界だと考えてチェックし、本来を忘れないように努める必要がある。
野っ原があり、ここがグリーンと場所を定め、穴を一つ空ければホールとなってゴルフができる。3ホールもあれば十分だ。六回まわれば正規の1ラウンドだ。クラブハウスはいらない。友だちがいればいい。取り決めは、ボールを打って、より少ない打数で穴に入れたほうが勝ち。いったん打ち出したらボールには触らない。打てないところに転がったら、罰打を払い、有利にならないところから打ち直してプレー続行。そうと決めたら握手してティーオフだ。これがゴルフの原点である。今でもこれで十分である。」
易きに走らないノータッチ、自分に厳しくこそがゴルフの精神であることを忘れず楽しんでください。
奈良柳生カントリークラブ 総支配人・阪口 勇