ゴルフは素晴らしいスポーツ。

 ゴルフは素晴らしいスポーツだとつくづく思います。ゴルフプレーを通じて人間としての基本が学べます。ゴルフの基本はまずフェアプレーの精神です。審判のいない稀有なスポーツで、スコアは自らが申告します。スコアを仮に少なく申告すればゴルファーとしてあるまじき行為として失格を宣告されます。逆に打数を多く申告すれば、訂正は許されずそのままのスコアが認められます。自己申告のスコアは全て自己責任だということです。

 このゴルフを子供たちに野球やサッカーのように親しめる手軽なスポーツとして親しんでもらえばと思います。子供が安くゴルフを楽しめる方法はないかといつも考えてますが、なかなか答えは見つかりません。ゴルフは何かとカネのかかるおじさんのスポーツというイメージが強く、若い子供が激しく体を動かす体力増強には向かないスポーツだというイメージもあります。

 半面、ゴルフをすることによって人間形成に大いに役立つスポーツであることは間違いありません。フェアプレー精神、プレー相手を尊敬するなど人間の基本が詰まっています。人間教育には格好のスポーツだけに、子供により手軽にゴルフに親しみ、ゴルフができる方策はないかゴルフ界挙げて知恵を絞るときだと思います。

 

ゴルフを通じて健康増進と親睦交流を図りましょう。

 ゴルフ業界では5年くらい前から2025年問題としてゴルファーが急減すると警鐘を鳴らしてきました。その2025年が到来しましたが、懸念するほど急減することはないと思います。新規ゴルファーの増加よりはリタイアするゴルファーの方が多いことは確かでしょうが、心配するほど急激に減少することはないと思います。

 戦後1947年から1949年の3年間に生まれた800万人のことを旧通産省官僚OBで作家の堺屋太一氏が「団塊の世代」と名付けました。この団塊の世代が良くも悪くも日本のゴルフ業界を牽引してきました。この団塊の世代が2025年に後期高齢者になるため、体力が衰えるとともに年金生活など老後の資金の無駄遣いをやめるため、ゴルフを続けることが難しくなるなどの理由から多くの後期高齢者が、ゴルフを引退するだろうと2025年問題として警鐘を鳴らしてた訳です。

 来場者を含めて私の周辺にいる団塊の世代のゴルファーはひじょうに元気で、この1、2年でゴルフを引退するような方は見受けられません。ただ今は元気で体力面や健康上の問題がなくても、病気や怪我などで突如ゴルフができない体になり、高齢ゆえに回復したとしてもゴルフができず引退せざるを得ないケースは増えて行くことは間違いないでしょうが。

 人口減少が進む今の日本では、ゴルフ業界に限らず全ての産業が縮小均衡に向かうのはしかたのない現実です。それだけに高齢者でも健康増進維持管理に最適のスポーツといわれてるゴルフを突如引退するという人は、そういないでしょう。

 ゴルフを通じて健康の保持増進を図り、ゴルフによる親睦・親善・交流を通じて交友が広がりコミュニケーションツールとしてゴルフは有効で効果的です。孤独な高齢者の日常生活に潤いを与え、健康・体力増進に役立つゴルフを、そう易々とキャディバッグを封印し引退されることはないと思うのですがいかがでしょう。

 

クラブ競技についての薀蓄。

 昨日21日は二十四節季の冬至でした。一年間で太陽の位置が最も低くなる日で、日の出から日没までの日中が最も短くなる日です。冬至には風呂に柚子を入れて心地よい香りに包まれて体を温める習慣があります。この習慣は江戸時代から始まったそうです。

 なぜ冬至に柚子湯かを調べると冬至=湯治、柚子=融通が利くといった語呂合わせから定着したといわれてます。さらに体を清める禊ぎの風習、ゆずの香りによる邪気払い、また、長い年月のかかる柚子の成長になぞらえて「長年の苦労が実る」という願いが込められているという説もあるそうです。

 本日はグランドマンスリーと親睦競技会が開催されてます。グランドマンスリーは文字通り月々のマンスリー競技の優勝者のみ参加資格があり年間優勝者を決める競技です。これとは別に年末に行われるラストコール杯は、今年の全クラブ競技で優勝できなかった方々に最後のチャンス与えるという競技のことです。

 50年以上前のゴルフクラブではいろいろ趣向の凝らしたクラブ競技が行われていました。例えば勤労感謝の日に行われる勤労感謝の日杯。今も競技としては行われていますが、この競技は本来重いキャディバッグを担いで歩くキャディの負担を軽くするために、この日の競技に限って5本のクラブで競技するというのが勤労感謝の日杯でした。

このほか「ツームストン競技」や「ステーブルフォード競技」など変わった競技方法が50年前のゴルフクラブではありました。

 ツームストンとは墓石の意味で、競技方法はコースのパー72に自分のハンデを足した数字のところまでプレーを続け、ストロークを使い果たしたところに自分の名前を書いた旗(墓標)を立てる。最終ホールの近くまで行けた者が勝つというもの。

 ステーブルフォード(ポイントターニーとも呼ばれてます)は各ホールでの決められた得点(失点)の合計点数で競う競技方法です。パーを0点としてバーディは2点、イーグルは5点、逆にボギーは-1点、ダブルボギーは-2点、トリプルボギー以上は-3点というように点数が決められており、各ホールの打数に基づいてポイントを獲得し、ポイントの合計が最も大きい人が勝利するというゲームです。

 ゴルフの競技方法について調べて行くと多種多様な面白い方法があります。ゴルフをスポーツとして愛した先人たちの知恵ともいえるいろんな競技方法、より少ないスコアを求め、その過程に喜怒哀楽などゴルフプレーから得られる楽しみがあります。

ゴルフは技量よりエチケット・マナー

 昨日は今季一番の寒波が襲来、天気予報では東日本や日本海側では雪も降るということでしたが、大阪北部や奈良県でも小雨が雪に変わり20、30分舞い散ってました。

 今日は研修会とシニア&レディース競技が行われてます。クラブ競技に参加することにより、ゴルフを通じて新しい仲間が増えクラブライフがより楽しくなって行きます。ゴルフは社交のゲームであるともいわれてます。「ゴルフが下手だからクラブ競技に参加するのは」と躊躇される方がいますが、技量よりも大事なのは同伴者に不愉快な思いをさせない対応能力があれば大丈夫です。

 みんな奈良柳生カントリークラブの会員で同じようにクラブ競技に参加してゴルフを楽しもうという仲間なのです。仕事や立場は違えどみんな奈良柳生CCの会員でこの日一日、我がホームコースでゴルフを楽しむために来ているのだからいらぬ遠慮は無用です。

 同伴者に嫌な思い、不愉快な思いをさせなければいいだけです。嫌な思いとはどういうことかといえば、自分の胸に手を当てて考えればいいです。自分が不愉快で嫌な思いをさせられた人を思い出せばいいだけです。スターティングホールに時間ギリギリに来て、ボールやティーを準備する段取りの悪い人、自分本位でプレー(遅い人)する人、バンカー跡を均さずそのままの人、グリーンのピッチマークを均さない人、ミスショットやショートパットを外していつまでも愚痴る人、所かまわず大声で話しかける人などなど。

 ゴルフマナー評論家・鈴木康之氏はこう書いてます「私たちのゴルフはそうそうみんながうまく打っていけるわけではない。あらぬほうへ飛んで行ったボールのリカバリー、そしてあらぬほうへ飛んでいる気持ちのリカバリー、さっきは自分、今度はあの人、助けられたり助けたりである。ショットのトラブルが続発しても目配り、気配り、そして今、誰が、どこにいて、何をするのが一番いいか、その気づきがあればみんなの愉快は保たれていく。それさえあれば、調子がイマイチでもゴルフは楽しい。」

マナー知らずは敬遠されます。

 昨日は奈良県のゴルフ場支配人会のOBと現役の交流会がオークモントゴルフクラブで行われ、旧交を温めてきました。OBのほとんどは65歳以上のシニアがほとんど。スコアはさておき、いつまでも元気にゴルフを楽しめることに感謝していました。

 年寄りゴルファーにとっては、スコアよりも元気に仲間とゴルフを通じて和気あいあいと過ごせることが大きな喜びです。支配人として数多くのゴルファーの生態を見聞してきてるだけに、昨今のゴルファー気質の変わりように苦言を呈す人もいましたが、技量よりもゴルファーとしての人間性に優れている人が尊敬に値すると口をそろえていってました。

 いくらゴルフが上手くてもマナー知らずの独りよがりは敬遠されます。昔読んだ本に「マナー知らずは人に嫌われ、仲間が少なくなりゴルフに誘われなくなります。それは人のプレーを妨げ、人を不愉快にさせるからです。ゴルフは誰でもが誰とでも一緒にゲームを楽しめるスポーツです。シングルとビギナーでも男性と女性とでも、さらには若い人とお歳を召した人とでも一緒にプレーを楽しむことができます。そのためにはゴルファーとしてのマナー・エチケットをちゃんとわきまえてることが前提条件となります。マナーにはその人の人格が表れる」(鈴木康之著・ピーターたちのゴルフマナー)と書いてました。

マナー・エチケットわきまえた真のゴルファー

 ゴルファーは常識をわきまえた紳士であると昔はよく言われたものですが、最近はマナー・エチケットに欠けるゴルファーが増えてきたように思います。

 シングルゴルファーであろうとマナー・エチケットが悪ければ尊敬されません。50年以上前のゴルフクラブのハンディキャップ委員会では、シングルハンディを認定する際には、ゴルフの技量以外にルール・マナー・エチケットをわきまえたゴルファーをシングルゴルファーに認定したものです。

 即ちシングルゴルファーはそのクラブの指導者的役割を果たすとともに、対外的にもそのクラブを代表する選手であると認識されるため、技量だけでなく品格まで求められました。そのためシングルゴルファーの称号はそれなりに価値がありました。

 逆に技量は劣っていても相手を思いやり尊重する心をもったスマートな振る舞いをする真のゴルファーをたまに見かけることがあります。

 プレー中はもちろんクラブハウス、ロッカーでの着替え、レストランでの食事、風呂等々あらゆるシーンで相手は従業員であれ誰であれ思いやり、尊重する心で接するジェントルマンゴルファーをたまに目にすることがあります。こうした真のゴルファーこそ尊敬に値します。私もゴルフは下手ですが品格ある真のゴルファーになりたいと常々思ってます。

ボール探しは同伴者も協力して探そう。

神戸ゴルフ倶楽部の「グルームの伝言」でロストボールほどつまらぬものはないと書かれてます。ラフの芝が長くてボールを探すのに苦労します。ロストボールの探索は3分。3分以上経過すれば1打罰をして打ち直ししなければなりません。

 グルーム氏いわく「人のボールの行方もよく見よう、それが仲間同士のエチケットだ」同じ組の同伴者が打ったボールが分からなくなったら協力して探すのがエチケットです。自分のゴルフに夢中で他人のプレーは我関せずといったプレーヤーをたまに見かけますが、同伴者が協力して探せば見つけるのも早いはず。そのためにはグルーム氏のいう通り人のショットをよく見てボールの行方を見ておくことが肝心です。

 ちなみにボールを探すコツは、少し高い場所から俯瞰して見るか、少しボールの行方より先に行き戻りながら見るのが有効です。ただよくあるのが打った本人がこの辺りといって探す場所より意外にボールは飛んでおらず少し手前(かなり前かも)を探すことが肝要です。本人が思うほど飛んでないケースの方が多いですから。

続「グルームの伝言」

10月16日のブログで日本最古のゴルフ場・神戸ゴルフ倶楽部の「グルームの伝言」という小冊子の一部を紹介したところ、顔を会わせた会員の方、数人から「さすが神戸ゴルフ倶楽部、マナー・エチケットの啓蒙も粋ですね。小冊子のピックアップでなく、全文を紹介してください」との要望がありましたので、ご紹介したいと思います。

 文中に出て来る留吉(キャディのこと)とは、プロゴルファーのレジェンド宮本留吉プロのことで、彼は神戸GCでキャディをしていて後に茨木カンツリー倶楽部でプロゴルファーになり、日本最古のプロトーナメント・日本プロゴルフ選手権の第1回大会の覇者となった日本を代表する伝説のプロであることを補足しておきます。

 それでは「グルームの伝言」を紹介します。

 「ここはアップダウンがきつい。クラブを選ぶのは、キャディに手伝ってもらえばよろしい。初代キャディの留吉以来、ここのキャディはクラブ運びが専門だ。」

 「ここではクラブ10本以内で楽しもう。それでも4人分を担ぐキャディは大変だ。各自、次のクラブ2、3本持って行こう。留吉たちは楽になる。この心くばり、ゴルフ規則の冒頭に書いてあるではないか。」

 「ゴルフはやむなくコースを傷つける。だから、ショット跡の始末はゴルファーに欠かせない約束事だ。ルールの前にエチケットあり。古来、それがゴルフというゲームだ。」

 「昔、山頂茶店の婆さんは店前はもちろん、途中の道もいつもきれいにしておった。わたしはきれいが好きだ。きれい好きなひとが好きだ。ゴルファーはみんなそうでありたい。」

 「ゴルフは仲良く順番にプレーするゲーム。すぐ打てるように準備していよう。番が来たら速やかに打ち、速やかに人の番にまわそう。プレーのペースも、エチケットの一つだ。」

 「しかし、人はさまざまだ。調子の出ない人も、体力の弱い人もいる。そういう人には後続をパスさせるという結構な知恵が、ゴルフにはある。──さあ、諸君、存分に楽しみたまえ。」

 ※アーサー・ヘスケス・グルーム(1846年~1918年)
 英国人。1868年(明治元年)に来日。宮崎直と結婚、並みの日本人以上に男気のある日本人になりきっていたという。
 六甲山頂の始祖。その別荘第1号の名が「101」である。
 仲好し4人の茶飲み話で「ゴルフを為(し)で見様ぢゃないか」となり手作り4ホールを作った。それが1901年。

 ※神戸ゴルフ倶楽部の誕生
 1903年2月27日、神戸外国俱楽部で「神戸ゴルフ倶楽部」創立総会開催。9ホールとなり、5月24日開場式。会員120名。遠くロンドンのゴルフ誌に紹介された。翌年18ホール完成。3、4番以外はその時のレイアウトが現在の原型となっている。

 日本のゴルフの父・グルームは72歳で黄泉の国へ。いま神戸・鵯越の丘に眠っている。

(神戸ゴルフ倶楽部刊「グルームの伝言」より。)

グルームからの伝言

 気温が30度近い暑さの日もあれば気温が一挙に下がって15度くらいの寒さの日もある変化の激しい10月の気候です。そのせいか体調を崩しやすくインフルエンザや新型コロナの感染が増え、流行の兆しです。新型コロナウイルス、インフルエンザの感染は未だに衰えずという状況のようです。

 新型コロナ、インフルエンザの感染予防には、人混みではマスク着用そしてこまめな手洗い、手指のアルコール消毒など油断せず予防対策をしっかり心掛けてください。

 

 机の引き出しを整理していたら以前プレーしたことがある日本最古のゴルフ場・神戸ゴルフ倶楽部の支配人からいただいた「グルームからの伝言」という小冊子が出てきました。グルームとは、六甲山頂の始祖であり、自らゴルフ場を作り上げた神戸ゴルフ倶楽部の創始者です。小冊子にはこのグルームの伝言としてさりげなくマナー・エチケットの重要性を説いてます。以下、神戸ゴルフ倶楽部のグルームの伝言からピックアップして紹介しますのでお読みください。

 「言い残し忘れたことがある。諸君、神戸ゴルフ俱楽部に、これはいかん、あれはいかん、そういうべからず集はない。考えれば、分かるだろう。先輩会員を見れば、分かるだろう。分からなければ、聞けばよい。教えてもらって、笑えば良い。ここは、みんなが心おきなく楽しむ大人の遊び場だ。」

「自分のボールは、自分の分身だ。行方が心配なボールほどよく見ておこう。人のボールの行方もよく見よう。それが仲間同士のエチケットだ。ロストボールほどつまらぬものはない。」

 「わたしたちは留吉(キャディ)たちに いちいち聞いたりなどしなかった。距離や傾斜を読むのも、プレーの内だ。うまく打てたら、自分の手柄。しくじったら、笑って悔しがればよい。」

 「ゴルフはやむなくコースを傷つける。だから、ショット跡の始末は ゴルファーに欠かせない約束事だ。ルールの前にエチケットあり。古来、それが、ゴルフというゲームだ。」

「盤上没我」ならぬ「芝上没我」

経済誌「財界展望」が「ZAITEN GOLF 2024」11月臨時増刊号として発刊されたので手に取って読んだところ、なかなか面白い記事がたくさん掲載されており、その中でも印象に残った記事がありましたので、ご紹介します。

ゴルフジャーナリスト初見 進氏の将棋の藤井聡太七冠の「盤上没後」の揮毫を「盤上」ならぬ「芝上没我」こそゴルフにとっていかに大切かを帝王ジャック・ニクラスの逸話を交えながら紹介している記事は興味深くためになります。「芝上没我」のさわりを転載して紹介します。

以下「ZAITEN GOLF」より。

「盤上没我」――将棋の藤井聡太七冠は、「盤上に集中して考える感覚を大事にする」として、色紙にこの言葉を揮毫する。「没我」とは、物事に集中して我を忘れること。藤井七冠の盤上での集中力の極みともいえる姿勢を見ると、この言葉の意味の大きさに納得する。ゴルフの場合もショットやパットに臨む際に、どれだけ集中できるかが大きく左右する。「盤上」ならぬ、「芝上」を意識してからアドレスしてみたらどうだろうか。藤井七冠には及ばずとも、集中力を高めることができれば、ミスヒットは必ずや減らすことができるはずだ。

<略>

大自然の中の広いエリアで行うスポーツのゴルフとはフィールドが違うが、将棋以上に毎回状況が異なる先が読めないゴルフこそ、1打1打に集中することが重要なのだ。将棋をゴルフに置き換えて「帝王」と称され、ゴルフ界で最も集中力の高いプレーヤーとして評価されているJ・ニクラスが大舞台でいかに集中力を発揮させたかを参考にしながら、どのように集中力を高めるか探ってみたい。

以下ニクラスと青木功の80年の全米オープンの死闘を試合展開も含めて、いかにニクラスがプレーに集中していたかを丁寧に、また興味深く5頁にわたって書かれています。ぜひ書店で購入して一読を。