日本独自のローカルルール「前進4打」。ゴルフの基本は常にあるがままの状態でプレーするのが本来の在り方です。ティーショットをOBした場合は、当然打ち直しするのがゴルフです。
しかしながらゴルファーが減少していく状況下で、いかに新しいゴルファーを増やしていくかを考えると初心者にはゴルフがあまりにも難しすぎます。ゴルフ練習場に数回行ってコースデビューできるほど簡単なものではありません。クラブにボールを当てることすら難しく、当たるようになってもチョロやら右や左に飛び真っ直ぐ飛ばすことは何十年とやってるゴルファーですらままならない。
初心者が100前後のスコアで回れるようになるには相当の暇(日数)とカネ(練習)が必要です。初心者がコースデビューしたら先輩ゴルファーはゴルフの精神を教え込みます。なかでもゴルフプレーの基本はノータッチでボールはあるがままの状態でプレーすることを強調します。
ノータッチの精神は、競技などで自分に都合の良い「ズル」をしないということが大前提です。一定の技量をもつゴルファーがスコアのためにボールを自分の都合の良いように動かすことを戒めてるわけですが、初心者がコースデビューしたらノータッチ、あるがままになど難しい理屈をいわず打ち易いライにボールを置き直すことを認めてあげる、またバンカーショットも2回以上打っても脱出できなければ適当なペナルティ(2打?くらい)を付加してピックアップして打ち易い所からプレー続行させるなどの救済処置を設ければ良いと思います。もちろんギブアップもOK。
100以上のスコアを叩くビギナーには、ティーショットをOBした場合の打ち直しも相当のプレッシャーになるようです。ティーショットを何球も打ってOB連発では同伴者だけでなく後続組にも迷惑をかけていることが、当の本人が一番分かってるだけに気の毒です。こうしたときに前進4打のローカルルールが生きてきます。日本独自の悪しきローカルルールと決め付けず、こうした事情を考えれば前進4打も意味をもってきます。
ただこの前進4打も特設箇所(特設ティーとしている所もあります)からプレーイング4で打たなければならないと強制するのではなく、打ち直しもOK、前進4打も可能という選択性の配慮がゴルフ場には欲しいと思います。ただ単にプレーの進行を早めるためにゴルフ場の都合だけの前進4打でなく、あくまでもプレーヤーに選択させるようにしたいですね。
初心者がOBの連発でボールをたくさん失くし、その上スコアはボロボロ、同伴者や後続組に冷ややかに見つめられてするゴルフ、面白いはずがありません。「高いカネを払ってのゴルフ、もう2度としない」といわさないためには、どのゴルフ場も前進4打の救済措置を設けることを検討する必要があると思います。もちろん競技にはこのようなローカルルールの適用は不可ですが。
奈良柳生カントリークラブ 総支配人・阪口 勇