数あるスポーツの中で競技規則の第1章に「エチケット」「コース上の心得」が明記されてるのは恐らくゴルフだけです。ゴルフはいかにエチケット・マナーを重んじられるスポーツであるかということがよく分かります。ゴルフは技術以前に人間性が問われるスポーツであることを最近のゴルファーは知らないように思えます。
ゴルフの上手い下手というよりプレーを通じて同伴競技者といかに楽しく愉快に過ごすかがゴルフというスポーツの妙です。老若男女が同じステージで楽しめるゴルフは、技術の巧拙よりもエチケット・マナーを遵守することこそが基本条件です。ゴルフの上手下手よりも人間としての品性・品格こそがゴルファーに求められます。
品性・品格とは、まず人を不愉快にさせない気遣いと常識をもった振る舞い、そして場の雰囲気を読み空気を和ませる会話や行動をもつ人といえるでしょう。いわゆるジェントルマンと評される人物のことです。よく「ゴルフは紳士のスポーツだ」といわれます。
クラブハウス、コースなど限られたゴルフ場のスペースで多くのゴルファーが集います。ひとり一人のプレーヤーが快適によりスムーズに楽しむために、安全かつ迅速にプレーしていただくために、他のプレーヤーへの配慮や心遣い、そしてコースをいたわり大事に使う気持ちがゴルフ規則の第1章「エチケット」の条文になっているのです。
最近はこうしたゴルフ本来のエチケット・マナーが継承されずにゴルフの巧拙で判断してしまう風潮があります。ゴルフは下手と上手が一緒に回って楽しめるスポーツです。ゴルフは下手でも同伴者に迷惑をかけない気遣いやプレーのペースを狂わせないようなプレーをすればいいのです。逆にゴルフの腕前はシングルクラスであっても自己中心的なマイペースで同伴者と協調できないモンスター・ゴルファーが増えてきたように思えます。
敬意を払われるゴルファーというのは、けっしてゴルフが上手いからではなく、同伴競技者を含めてその場の空気を和ませる会話や振る舞いを身につけている人こそ尊敬に値するゴルファーであることを肝に銘じていただきたいものです。
奈良柳生カントリークラブ 総支配人・阪口 勇