団塊シニアに依存するゴルフ業界。

 わが国の人口減少と高齢化は産業界のみならずゴルフ業界においても深刻な問題となってます。

 レジャー白書によると1992年のわが国のゴルフ人口は1480万人だったのが2016年には550万人と半減どころか3分の1近くに激減しています。ゴルフ場利用者数も1992年には1億人だったのが2016年には8631万人と減少しています。

 ゴルフ人口が3分の1近く激減したのにゴルフ場利用者数は△14%にとどまってます。これは団塊の世代を中心とした高齢者ゴルファーの年間プレー回数が大幅に増えたことによります。さらに増えた大きな要因にセルフプレーによる低料金化があります。1992年頃の平日のプレー料金は1万5千円~2万円が当たり前でしたが、この数年の平日のプレー料金は昼食付きセルフプレーで4千円代から1万円。キャディ付きでも1万2千円~1万8千円というところでしょうか。

 年金生活者のシニアゴルファーにとって、コースやサービスの良し悪しは二の次、グレードの高いゴルフ場で1万5千円以上払うなら1回5千円のゴルフ場で3回プレーする方が良いというのがこうした数字の実態ではないかと思います。

 なりふり構わずコストカットして究極の安値といわれる5千円前後のプレー料金を打ち出す大手チェーンゴルフ場に追随するゴルフ場も高齢者ゴルファーの年間プレー回数増加を後押ししているようです。

 団塊シニアに依存するゴルフ業界もここ4、5年で75歳を迎え順次クラブを置き始めることになるとゴルフ市場は大幅に縮小され、ゴルフ場の存続の危機が確実にやってきます。

 この団塊シニアが元気なうちにゴルフ人口の減少に歯止めをかけるべく、有効な対策をゴルフ業界挙げて積極的に取組んで行かなければなりません。

 ゴルフを始めるきっかけ作りや30代~50代の働き盛りのビジネスマンへのゴルフ誘引施策などゴルフ界全体が一つとなって市場活性化をして行く必要があると思うのですが、他人事のように傍観している経営者が多く、また業界・団体も一枚岩になって物事に当たろうという機運に乏しいのが残念です。

奈良柳生カントリークラブ 総支配人・阪口 勇

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