プロトーナメントでは"パットイズマネー"といわれるように、30センチのパットを外して優勝を逃したり、1打差で賞金が数百万円も違うだけに、たかが30センチのパットだからと努々(ゆめゆめ)疎かにしてはいけません。300ヤードのナイスショットも1ストロークなら30センチのパットも1ストロークですからスコアアップを目指すならまずパターの練習を徹底するように。
パー72のコースならば半分の36パットがコースレーティングの基準になっています。パープレーしようと思えばまずは18ホールを絶対に36パット以内に収めることです。
ダイナースクラブ発行の月刊誌「SIGNATURE」を読んでいたところ、"スコアメイクの秘訣"というコラムでなかなか面白い分析をしていたのを見つけました。
これによると「ゴルフのスコアの40%はパッティングが占めている」そうです。スコアが100のときのパット数は約40回、90で36回、80で32回と一般プレーヤーの平均値を出しています。プロの場合でもパープレーの72のときで30~31回、70のときで28回くらいだそうです。
わが国の超せっかち元宰相のようにグリーンにオンすれば2パットとして勘定して次のホールへ向うとなれば誰もがスコアはぐ~んと良くなります。パターほど簡単なショットはありません。どんな初心者でもウッドやアイアンクラブで打つより簡単です。強弱による距離感さえ体得すればカップインは別としてそれなりにパッティングはできます。
しかしながら簡単であるが故に難しい。単に打ち方、技術的問題だけでなく集中力、精神力といった見えない力に大きく影響されるからです。なんでもない30センチのパットが、絶対入れなければというプレッシャーで体が固まってスムースなストロークができずカップを外してしまうことは、誰でも経験されていると思います。
かのジャンボ尾崎も初めてのビッグタイトル・日本オープンでしたか、30センチのパットをきめれば優勝というときに、プレッシャーで何度もアドレスの仕切り直しをしてカップインをしたことがありました。ギャラリーやテレビ観戦していた人も目をつむって打っても入る30センチを、いざ勝ちを決めるとなると、並大抵のプレッシャーではない凄さをまざまざと見せ付けられました。
スコアメークの鍵はパットにあります。グリーン外から1~2メートルに寄せて1パットで沈めると気分は高揚し精神的にも余裕が生まれショットまで良くなります。反面、30センチのなんでもないパットを外して3パットにしてしまうと精神的にも弱気になり、また外してしまうのではないかと負の連鎖に陥ってしまいます。
プロでもアマチュアでもショットよりもパットの精度を上げることこそが好スコアを出す近道のようです。いよいよ来週の水曜日からJGTOのクォリファイングトーナメント1stステージが始まります。グリーンのクォリティをあげるべくコーススタッフは頑張っています。
奈良柳生カントリークラブ 総支配人・阪口 勇